宗教・宗派について考える
2022/4/27
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傍から見ると日本人は無宗教だと言われています。
結婚式は教会で挙げ、年末にはクリスマスを祝って、年が明けると神社に参拝、葬式となれば線香を立て手を合わせる。仏教、キリスト教、神道などが交じり合い、海外のひとにとっては不思議なことのようです。しかし、漠然とした神や仏、超常的な「何か」へと敬意や、敬いと言った気持ちを大切にしてきた日本人。もともと日本は神の国で、神様を祀り敬ってきました。しかし、今日の日本でのお葬式の約90%が仏式です。残りは神式やキリスト教、無宗教などです。ではなぜ仏式が多いのでしょう。
最大の理由は江戸幕府の政策にあります。幕府はキリスト教を禁じ、日本のすべての家はいずれかのお寺に属することを義務付けました。これが檀家制度です。この制度によって仏式スタイルの葬儀が爆発的に増加しました。
日本最古(平安時代)の宗派は最澄が開祖の天台宗。空海が開祖の真言宗です。
次に鎌倉仏教というグループの登場です。その源となったのは、比叡山に最澄が開いた天台宗です。平安時代から鎌倉時代にかけて、多くの名僧を輩出しました。浄土宗の開祖・法然、浄土真宗の開祖・親鸞、臨済宗の開祖・栄西、曹洞宗の開祖・道元、日蓮宗の開祖・日蓮などはそれぞれ独自のスタイルを見出し、比叡山を飛び出し活躍しました。現在の日本仏教の主な宗派はこの鎌倉仏教に端を発しています。また、死者をきちんと弔ってもらいたいという庶民の欲求に応え、鎌倉仏教の僧侶たちは葬儀に携わるようになりました。
日本は宗教に無節操などいわれることもあります。実際に大方の日本人には信仰はないと思います。しかし、間違えてはいけないのは日本人は決して神様を信じない「無神論」の民族でないということです。そして、日本人に合うと感じた風習は積極的に取り入れる。たとえ、少し違っても全てを否定することはしない。これが日本人のスタイルかもしれません。